選抜Ⅱ 数学

 今週から5週間にわたって、公立高校入試選抜Ⅱの傾向や対策を書いていきたいと思います。簡単ではございますが、高校受験を控えられている生徒さんはもちろんのこと、保護者様のお役に立てると幸いです。

 

 まず選抜Ⅱの数学の過去7年間の平均点は以下のように推移しています。

 

 H24   H25   H26  H27  H28  H29  H30

  22.9  23.7  27.3  30.1  24.8  23.0  22.4

 

 大学入試改革の話が急速に進み始めてきたころから、広島県公立高校入試の平均点が下がってきています。すなわち、難化傾向にあることが読み取れると思います。大きく変わってきていることとしては、問題のページ数です。

 H27年度入試の問題は、8ページの問題用紙で大問7題構成でした。しかし、H30年度入試は、10ページの問題用紙で大問6題構成となっております。4年前の入試よりも、大問が減っているにも関わらず、問題ページが増えていることがわかります。要因としては「問題の長文化」です。

 

 大学入試ではセンター試験が廃止され、数学は記述問題が導入される予定です。思考力、判断力、表現力などを適切に判断するためです。これまでの入試というのは、「暗記・覚える」ことがいかにできているかを問われる問題が多くありましたが、今後は長文を読んで、条件に見合った判断をし、根拠に見合った道筋を立て思考し、その思考した過程を採点者に分かりやすく記述することが求められます。

教育委員会から、H30年度の選抜Ⅱの数学における出題のねらいが出されておりますが、そこにも「思考力」「判断力」「表現力」という言葉がたくさん出てきます。この傾向は、今年度(H31年度入試)においても、変わることはないと考えています。

 

 そのために、対策としては順序が大事であると考えています。

 大問1はこれまでの入試と変わらず、中学校で学習した基本的な計算力が求められます。したがって、学校で学習したり、定期テストで出題されたりした「計算問題」「一行問題」をミスなくできるように学習することが大事です。平均点を確保していくためには、絶対に得点しておきたいのが大問1です。繰り返し計算練習をし、学校で学習した計算の定着漏れが無いようにすることが大事です。

 

 大問2~4(H30年度入試)は、計算の難易度は大問1と大差ございませんが、大問1題に対して問題文が2ページもある、文章問題となります。問題文を適切に読んで条件を明確にするということももちろん重要ですが、「分数」「割合」「比」などの小学生で学習した内容を用いる問題も出題傾向にあるため、使える知識の幅を広くしておくことがとても重要です。長文問題を解くためには、「読解力」とそれらの数字を的確に使える「処理能力」が大事です。対策としては、大問1と同様に定着漏れが無いように幅広い知識をつけておくことが大事です。と同時に多くの文章題に慣れ、「読解力」「問題の処理の仕方」を定着させていくことが大事です。しかしながら、入試形態が変化してきているのは最近で文章題の問題数はさほど多くございません。そのため、他県の入試問題を活用することが非常に良いと考えております。問題の長文化は広島県だけではなく、全国的な傾向ですので、入試レベルの文章になれるためには、他県問題を解くことが最良だと思います。

 

 大問5,6(H30年度入試)はいわゆる典型題です。図形や関数における幅広い知識や計算を融合させ、手順を明確にして、論理的に問題を解くことが要求されます。これらの問題は以前から変わらず出題されているものですので、練習問題数も多く、問題の数には困らないと思います。しかしながら、かなり高度な考え方や解法も出題されますので、的確な対策が必要です。問題を解く上で、問題を暗記するのではなく、なぜそうなるのかという道筋を1つずつ立て、理解していくことが重要です。

「関数」においては、2次関数、1次関数そして面積などの融合問題に「図形」においては、合同、相似、円、直角三角形(三平方の定理)などの融合問題に多く触れ練習することが大事です。

 

 簡単ではありますが、以上のように学習していくと、効果的だと思います。しかしながら、早すぎる対策は時間の浪費になってしまう可能性もあるので、注意が必要です。昨年度の大問5,6においては、これから学校で学習する内容を多く含んでおりますし、大問1~4までもそのような問題もございます。したがって、焦って早め早めに過去問や入試問題で対策をしても、基本が身に着いてもいないのに対策をしてしまうことになり、混乱を招きます。まずは、どの生徒さんにおいても、基本を確実に定着することが最優先だと思います。

 

 そのため、彩星館では、1月に行われる学年末テストまでは、基本的に学校で学習される内容に特化して学習します。その後約2か月間で過去問対策や上記対策を実施していきます。これからは、暗記していれば解ける、傾向があるから早めから傾向を掴んで練習していれば解ける問題は確実に減ってきます。これは高校入試だけではなく、大学入試も同じです。だからこそ、やり方を身に着けるだけの方法論ではなく、基本を身に着けた上で思考のプロセスであったり、記述の方法を学んでいくことが大事だと思います。

受験生には、ぜひ基本を大事にして、受験勉強を頑張って頂きたいと思います。

 

 また最後に対策は、自分自身、志望校に向けて実施して頂きたいと思います。ただやみくもに学習したところで、その内容が身に着くかどうかは、別の話です。生徒さんには1人1人、理解度、定着度があります。それを無視して学習しても効果はあがりません。これは数学だけに限らず、他教科も同じです。ぜひしっかりと自分にあった対策、勉強内容を見つけて志望校、目標、夢に頑張って頂きたいと思います。

 

 来週は、理科について書いていきます!